株の勝ち方は外国人が全て教えてくれる 読んでみた。単行本 – 2006/5/18発行。
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ざっくり感想
株式トレーディングをやってみるうえで、割と実践的なことが書いてあると感じた。
基本的に著者の考えとしては本書が書かれた年代は大口の外国人投資家外国のファンドなどが日経を動かしていると言う考えだ。
これは2019年現在でもあまり変わっていない状況という風に思える。
ただ一つ本書も書かれた年代と違うのはアベノミクスがらみの日銀金融緩和政策の影響が現在ではあり、今現在でも日銀による ETF の買い入れが進んでいるという状況だ。
テーパリングは始まるか分からないので現状この状態は不安要素の一つという風に思える。
ちなみに著者は、本書でアメリカのサブプライムローンの過熱について、警告めいた文を書いている。サブプライムローンショックも経済に明るい人にとっては予測できたショックだったのかもしれない。
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印象に残った記述
日経は外国人(外国のファンドなど)が買えば上がる、売れば下がる、しかし日本人はいつも安いところで売らされている。
なぜか
目先の小さな利益にこだわり少し上がったところであわてて言ってしまうため
個人も プロ(金融機関)も大差なし。
下げトレンドの材料株は10から20%の利益で満足すること、30から50%だと保有期間が長くなり勝率も落ち資金の回転が効かなくなる。
また買値により5%下がったら自動的に損切ること。
経験的に戻り待ちよりも新しい材料株に移ったほうが投資効率が高くなる。
「外国人は悪材料出尽くしで買ってくる」 これを覚えておくこと
→イラク開戦でダウの上昇トレンドスタート
→りそな銀行国有化で外国人の日本株買いスタート
→2005年衆院解散で外国人過去最高の買い越しが始まる
寄り付き前の外国人の注文動向は9割以上は合致している
投資主体別売買代金差額を確認することは重要
できる外国人ファンドマネージャーほど割安、割高の判定に優れている
→何々円以下なら買いと機械的に売買できる条件は
①主力株であること →トヨタキヤノンなど、欧米の年金基金などが買う
②PBR が低い中小小型株であること→欧米の投資信託(ファンドなど)が買う、割安で財務のしっかりしたところ
→PBR 1以下
→ BPS が高い
→株主資本比率60%以上
③成長性が高いこと →純利益が年率40%以上増加しており今後も続くことが予想される
④再生企業であること →再生できた企業
含み益が出たら買い増し含み損抱えたら売ること。
北米の投資家は「円安ドル高で日本株を買い、円高ドル安で日本株を売る」のが正しい。
欧州投資家は「円安ユーロ高ポンド高で日本株を買い、円高ユーロ安ポンド安で日本株を売る」傾向がある。
著者の大まかなスタイルは以下のとおり
①大きな上昇相場(上昇トレンド)では優良株を中心に運用する
②ボックス相場(ボックストレンド)では仕手株を中心に運用する
③大きな下降相場(下降トレンド)では材料株を中心に運用する
どの相場でも買いが基本だが③の大きな下降相場の場合 は優良株の空売りも併用しているとのこと。基本は相場の流れによって投資する体制を変えていくことが重要だというふうに考えてるそうだ。
ちなみに著者は今でもブログの執筆をしている。
中原圭介の『経済を読む』
http://blog.livedoor.jp/keizaiwoyomu/
感想まとめ(本の内容とはほぼ関係無し)
以下は本の感想というより、この本を読んで思いついた内容となります。
基本的に株式相場では日本人の性質としてある一方向に向かったモメンタムのようなものに沿って全員が動いてしまうというような傾向がある。
そこを米国であったり欧州の投資家に手玉に取られているようにこの本を読んでて読んで改めて感じた。
世界大戦が起きていたような時代は半世紀ほども以上も昔に過ぎたが今でも国家間の争いは以前の戦争とは形が違うかは続いていると感じている。
株式市場の取引や為替市場の取引は現代の戦争である。株式は東インド会社が渡航費用を募るために考えた集金手法であるが、現代ではそれが国を超えて取引されることによって他国から合法的に経済的な利得を奪取する仕組みが出来上がっている。
個人レベルで取引してる分には相対取引の相手が誰であるかも分からないし動く金額もごくわずかであるのでこういった国家間の経済の動きなどを実際に意識することはない。
しかし確実に背後にはそういった動きが存在している、例えば昨今の日産や三菱 へのルノーの買収についても日産は非常に高配当株式となっており実質的に日本企業が生み出した富がフランスに流出する結果となっている。これは現代の形を変えた植民地政策であるという風に捉えることもできると思っている 。
ただここまで来ると問題が大きすぎて正直どういった解決策があるかというのは私には分からないレベルであるし、経済学者でも明確な回答は無いだろう。
ただ、株式で資金調達をするという明確な根拠理由にかける企業についてはいたずらに上場するのではなく非上場の形で経営をするといのも一つの解ではないかと思う。
また、最近各国で保護主義的な政策を進める主張が増えている国家元首が増えているのは、こういった国際的な経済的奪取に対するカウンターアクションの一つなのかもしれない。
もし個人の力でも少しでもこういった動きに対抗したいと言うのであれば自分自身が応援したい企業の株を売買するのではなく長期保有を前提として取得することで海外からの経済的収奪を少しでも防止することができると思う。
もちろん個人の力はわずかだが、日本の国民全体のタンス預金であったり預金されてる資金は相当な金額にのぼる(経済的に長期低迷している2019年現在でも未だにGDP世界ランキング3位である)。
個々人が経済的な勉強をしてこういった国家間での経済的奪取について意識をすれば、対抗可能な力は十二分にあるはずだ。